将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

『偶然完全-勝新太郎伝-』を読んだんです

『偶然完全-勝新太郎伝-』を読んだんです。

勝新太郎さん。その破天荒さに一種の恐れ、どこかで憧れ、嫌悪、そんなもろもろを感じてもいました。

何度か警察のご厄介にもなりましたよね。

パンツの中に麻薬を隠していたり。

そうそう、その時の取り調べで、「一番大切なのは真実だ」と言われ、「いや、一番大切なのは秘密だよ」と言い返したとか…。

「総理大臣の代わりはいても、勝新の代わりはいない」とか。

どこまでがリアルで、どこからがフィクションなのか線引きができない人間。

自己演出なのか否か。

でも、人間は大なり小なり自己演出しているんじゃないかなあ。

最たるものが、釈迦でありキリストであり。

つきつめれば、神々しささえ放つ。

 

筆者は、勝さんの最後の弟子を自認しています。

だから、勝愛に満ちている。

この本は如是我聞ですね。

潜在的な面で言えば、弟子ってたくさんいるんじゃないかなあ。そんな弟子達に記した教本。

そんな感じ。

読んで良かったなあって素直に思えます。

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データー

 

偶然完全 勝新太郎伝 (講談社+α文庫)

偶然完全 勝新太郎伝 (講談社+α文庫)

 

 

 

 

『巨人軍の巨人 馬場正平』を読んだんです

少し前、『1964年のジャイアント馬場』について書いたんですが。

今回は『巨人軍の巨人 馬場正平』です。

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『1964年…』は、一言で言えば、「おまえらアスリートとしての馬場のすごさを知ってるのか」って投げかけてくるんですよ。たしかに、晩年の馬場は動きものろかったよな。けどな、元々あの巨人軍の選手なんだぞ。すごいんだ。プロレスラーに転向してから、アメリカで大活躍なんだぞ。著名度や稼ぎなんて、今のイチローなんか問題にならねえんだぞ。

 

『巨人軍の巨人…』は、極端に言えば、逆。

馬場は野球人としてはたいしたことないんだよね。野球人・馬場の活躍は2軍でのもの。当時の2軍は、現在のプロ野球と違って、もともとたいしたことがなかった。資料もちゃんと用意して、そう語りかけてくるんです。むしろ、止まらぬ成長に悩む人間・馬場正平の苦悩を描いています。

 

両者の違いは明らかですが、『巨人軍の巨人…』はプロレスラーとしての馬場については『1964年…』を読んでくれって書いてある。

 

僕は、どちらがどうとも言えません。でも、馬場は大好き。その馬場について、いろんなことを知ることができた。それで十分ですし、そしてですよ。

そして、『巨人軍の巨人』の表紙をもう一度見てください。

この足の上がりっぷり。

これ、星飛雄馬じゃんか。

やっぱり、すごそう。

 

巨人軍の巨人 馬場正平

巨人軍の巨人 馬場正平

 

 

『外田警部TGVに乗る』を読んだんです

以前に紹介した『外田警部』(愛棋家必読ミステリー『外田警部、カシオペアに乗る』 [将棋] All About)、続編を読んだんです。

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将棋シーンは減ってはいますよ。けれど、テイストはしっかり味わえます。

今回は、フランスが舞台。しかも、大使館が関係している事件。さてさて、外田警部の活躍やいかに。なんですが、フランスの国民性までしっかり書いてあるんです。もちろん、それが、現実と合致しているのかどうかは不明ですよ。けれど、著者の運びとして、きちんとそのプロセスを踏んでいる。だから、フランスなぞ、『おそ松くん』のイヤミのでしか知らぬ(いや、他にも知っていることは知っていそうですが、やっぱ、イヤミでしょ)ミーごときも、楽しめる作りざんす。

うまいなあ、古野まほろ。唸らせる作品でした。

また、別のも読んでみるざんす。

下の画像はイヤミを知らない人のために参考ざんす。

 

ホクシン交易 イヤミ ヘッドカバー WHC399

ホクシン交易 イヤミ ヘッドカバー WHC399

 

 

 

『1964年のジャイアント馬場』を読んだんです

『1964年のジャイアント馬場』を読んだんです。

 

僕はプロレスの大ファンなんです。

アントニオ猪木も好きだし、ジャイアント馬場も好き。

二人のライバル関係も大好きでした。

僕が子どもの頃はプロレスファンは2分されていましてね。

いわゆる「馬場派」「猪木派」です。

で、僕はこうもりみたいなもんです。

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まずもって、驚いたのがこの本の厚さです。これって辞書じゃんか。ヘタしたら、広辞苑だよなあ。

著者は柳澤 健さん。

彼は『1976年のアントニオ猪木』って本を先行させてるんだ。もちろん、僕は読んだ。ルスカ、アリ、ペールワンなどとの闘いを書いているんだけれど、リアルファイとプロレスの線引きをしているんだ。でも、猪木はその線引き自体をしていない。ゆえに、面白かった。

そして、今回の『1964年のジャイアント馬場』。

観客をヒートさせることができるレスラーこそが、トッププロレスラーだという馬場の信念を書き込んだ大作だ。馬場の活躍が、現代のイチローをも上回る物だったことも良く理解できた。

でもね。馬場自身もは線引きをしていないよ。僕はそう思っている。だから、この本にも、もやっとした違和感を持ったし、だから、面白かった。

 

馬場も猪木も線引き否定派だと感じていた。

だから、僕はこうもり派だったんだなあ。

 

1964年のジャイアント馬場

1964年のジャイアント馬場

 

 

 

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)