将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

将棋を観るという力

『将棋を観るという力』

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僕は湯の町別府で子ども将棋教室をしています。
そこで、子ども達の成長にとって、将棋がどんな役割を果たしてくれるかを書いていきたいと思います。

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将棋には「観る」という行為があります。

いわゆる観戦です。

たとえば、スポーツの観戦。
会場でも応援がすごいですよね。
僕も、子どもの頃からスポーツファンでして、野球でもプロレスでも観戦に行けば、息子と共に、年甲斐もなく熱狂します。
これは、お祭りのようなもので、日常からの解放というか、そんな効果があるのだなと思います。

ところが、将棋は、かなり違います。
たとえば、大会の会場では、物音を立てぬように、息をのんで観戦しなければなりません。
 
その上、頭の中は、対局者と同じようにめまぐるしく思考しているんです。

「ああ、この人は、すごい手を指すな」
「おやっ、この手はどういう意味だろう」
「僕だったら、こう指すのにな」
「私と同じ考えだ」
こんなふうにフル回転なんですね。

つまり、将棋の観戦者は傍観者ではないのです。
いわば、主体的な観戦者なんですね。
しかも、対局者の邪魔をしないという「気遣い」、いや、と言うよりも「責任」さえも生じています。

だから、実は将棋の観戦というものは、かなり難しいのです。
観戦できる力を身につけるには、すごい努力がいるんですね。


画像を見てください。

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これは、僕が主催したある子ども将棋大会でのスナップです。
対局を観戦している子に注目してください。
この盤面に食い入るような姿を、ぜひ、見ていただきたいです。

こんな観戦ができるようになれば、もう、一人前。
すごい力です。

将棋には「観る」を通じて、子どもを成長させる力もあるのです。