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将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

第4章 縄文・弥生の疑問編  (4)「邪馬台国はどこなの?」:「幻のヤマタイコク」

歴史

前号までは下記です。


第4章 縄文・弥生の疑問編 (3)「邪馬台国はどこなの?」:「黄金バットのナシメさん」 - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手

 

西暦237年 秋。
アジアは動乱の中にいた。
大陸の覇権をねらう魏・呉・蜀の3大国が戦乱をくり返し、周辺の
諸国はその豪風に飲み込まれようとしていた。
ここ、倭国・・。
ヤマタイコクの宮殿、奥深い1室で、男女が向かい合い座っていた。
風がクヌギの小枝をゆらし、落ちきれずに残っている葉がかさかさ
と音をたてた。
女が言った。
「そうか、諸葛孔明(しょかつこうめい)が死んだか・・・。」
「ああ、そうらしい。
あの男こそ不老不死とておかしくないほどの天分の持ち主だと聞
いておったが・・・。やはり我らと同じ人間であったということ
か・・。
これで、蜀も、あのクヌギの葉と同じ運命じゃのう。
孔明という実が落ちれば、葉はもう持たぬ。
いずれ魏という風に落とされるに違いない。」
男はため息まじりにそう答えた。
「ならば、ナシメ、呉はどうなる?」
「呉とてそう長くは持つまい。
あの国もしょせん孔明の策略にのって存在したにすぎん。」
ナシメと呼ばれたその男は遠くを見つめた。
視線の先にはどんよりとした雨雲があった。
「ヒミコ。急がねばならぬ。
 魏という風は、いずれ大陸のすべてをおおう雨雲となるだろう。
 ほうっておけば、その巨大な雨雲は倭をも飲み込むかもしれぬぞ。」
「急ぐ?
 では、魏が全土をまとめる前に使者を送ろうと言うのか。」
「ああ、それがよかろう。
 まだ3国で争っている今ならば、魏の皇帝も我らを必要とするだ
 ろう。
 非力な我らとは言え、呉や蜀につくことを望むはずがないからな。
 我らを喜んで受け入れるはずだ。」
「なるほど。さすがはナシメじゃ。読みが深い。
 急がねばならぬのう。よし、わかった。早急に船を造り、クヌギ
 が次の実をつけるまでに魏へ使者を送ろう。
 しくじれば倭も大風の前の枯葉になる。使者は大役じゃ。」
ヒミコは手の平ににじんだ汗をにぎりしめ、こう続けた。
「ナシメ。その使者、ナシメにやってもらいたい。
 我らが命をたくせる者は、ナシメ、お前しかいない。」
その言葉には鬼が宿ったかのような気迫があった。
これが、ヒミコの強さである。あらゆるものを受け入れ、そして、決断を放つ。
うむを言わせぬカリスマが人々をひきつける。
「わかった、ヒミコ。われが引き受けよう。
 ただ一つ条件というか頼みがある。聞いてくれるか。」
「うむ。なんなりと言ってくれ。」
「幸いにも、魏は、我らの国ヤマタイをまだ知らぬ。
 これを利用するのじゃ。」
「利用?」
「ああ、魏の皇帝は征服欲のかたまりのような人間だと聞いている。
 今は交わりを結べようとも、後々、倭との関係がどうなるのかは
 不明じゃ。倭に矢を向けぬ保証はない。
 そこで、我がヤマタイコクを幻の国としておきたいのじゃ。」
「幻とは、どういうことじゃ?」
ヤマタイコクは存在すれども到達不可能な国にするんじゃ。
 どこにあるかさえ、判然としないヤマタイコク、征服などおよび
 もつかぬ幻の国にするつもりじゃ。
 われは我らの国を霧の中に隠す。
 なあに、やつらは我らのことをしょせん地理など知らぬ未開の猿
 のように考えている。
 そこさえも逆手にとって見せるわい。」
「うむ、よく、わかったぞ。ナシメの思うようにやってくれ。
 じゃが、逆に、もし、魏から使者がくるようになったら、その時
 はどうする?」
「心配はいらぬよ。
 その時は適当に、我さえも取ったことのないようなけもの道でも
 連れて案内するわい。
 いずれにしても、われは命をかける。
 そして、その命とひきかえに幻のヤマタイコクを作りあげてみせるぞ。」
翌年6月、魏へ向かう船にナシメがいた。
その手には青々とした1枚のクヌギの葉があった。
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とまあ、これが、僕の分析です。
ナシメさんは「幻のヤマタイコク」を作りたかった、日本を守るた
めに・・。
・・・僕はそう考えている。
だからこそ、「黄金バット」ナシメさんのその思いは、3世紀の魏
だけでなく、現代の僕たちにも伝わり、まさに霧の中の幻となって
いるのだ。
ヤマタイコクはどこにあったか・・。」という教科書にものって
いる疑問。
前に、その疑問は方向が違うんじゃないかって、僕は書いた。
「幻のヤマタイコクの場所」を探すより、
ヤマタイコクを幻にしたわけ」を探る方が、より様々な人間の思
惑が浮かび上がり、感性の歴史を楽しめるって考えたからだ。
では、ここでかみさんの感想を。
「今回いきなり文体が変わったわねえ。
 でも、ヒミコさんにも煮しめさん(かみさんはナシメさんをこう呼ぶ)
 にもロマンを感じたなあ。歴史って楽しいのね。
 でも、あの霊界レポーターの話はどうなったの?」
あっ、そうだった。すっかり忘れてたぞ!!
また、いつか登場させよっと。
でも、僕でも忘れてた霊界レポーターのことを覚えてくれてるなんて、
けっこう読んでくれてるんだなあ、かみさん(しみじみ)。サンキュ!
ではまた。

 

次号は下記です。


第5章 古墳時代 「前方後円墳とてるてる坊主」 - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手