将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

第4章 縄文・弥生の疑問編  (3)「邪馬台国はどこなの?」:「黄金バットのナシメさん」

第4章 縄文・弥生の疑問編 
(3)「邪馬台国はどこなの?」:「黄金バットのナシメさん」
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前号は下記です


第4章 縄文・弥生の疑問編 (2)「邪馬台国はどこなの?」:「ウオ・ジャオ・チンジュ」 - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手

 

「ナシメ」さん・・・。
僕のかみさんが、「初めて聞いた名前」と言い、その晩のおかずを
「煮しめ」にするヒントとなった名前である。
それほど(どれほどだろう?)僕らにとって、なじみの薄い名前だ。
でも、この人、実はすごい人なのだ。
なにせ、ヤマタイコクのヒミコが当時の超大国「中国、魏(ぎ)」
に送った正式の使者なのだから。
まあ、いわば、日本の歴史上、最初の外務大臣
だから、ナシメという名前は「魏志倭人伝」にも記録されている。
もちろん、それまでも中国とのつながりを持つ「クニ」はあった。

たとえば、「中国(漢)」から「金印」をもらったクニだってある。
ほら、教科書にものってるでしょ。あの、福岡県の志賀島(しかの
しま)で発見されたキンキラでゴージャスな印鑑。
けれど、あれは、100国以上に別れていた日本(倭)の中のただ
1つの「クニ」が単独でもらったものなんだ。


なんども言うけど、「クニ」と言ってもその規模は市町村、いわば
自治体程度、大きくても州って感じ。
だから、ローカル外交だよね。
ところが、ヤマタイコクはちょっと違う。
なにせ、日本のクニ、30カ国をまとめる、いわば合衆国の代表み
たいなものなのだ。
英語で言えば「U.S.W (United States of Wa)」だもん。
ねっ。ナシメさんは、そこの初代外務大臣なんだもの、すごいでしょ。
ちなみに、ヒミコさんも魏から金印をもらっている。
まだ、発見されていないけど、ちゃんと陳寿さんが「魏志倭人伝
にそう書き残してくれているんだ。
その印鑑にはヒミコさんのことがこう刻まれている。
倭王」・・・。まさしく「U.S.W」の王なのだ。
それから300年くらいたって、同じように中国(随)に派遣され
た「小野妹子(おののいもこ)」さんは、教科書にも顔を出すほど
の有名人なのに、なぜ、ナシメさんはこれほど無名なのか・・・。
こりゃ、不思議です。
まっ、とにかく、僕の考えでは、そのナシメさんが「ヤマタイコク
論争の素」となる「水行十日、陸行一月」、つまり、へたをすると
ジャワ島まで行けちゃうかも知れない所にヤマタイコクがあるなん
て語っちゃった。
彼が正式な使者で、正式な使者がそう語ったからこそ、陳寿さんも
正式な歴史書「魏志倭人伝」に、そう記録したとしか考えられない
もの。
そして、だからこそ、魏の皇帝は
「よく、そんな遠くから来たなあ。」って言って、たくさんのお土
産をくれたんだよね。
じゃあ、なぜ、ナシメさんは、そんな場所を「ヤマタイコク」だと
語ったのだろうか?
考えられる一つ目の可能性。
ヤマタイコク」は実際にジャワ島にあったってのはどうだろう?
でも、こりゃ、ちょっと無理だと思う。
ジャワ島から日本の九州北部までの三十カ国をまとめるってのは、
そりゃあ、むちゃくちゃでしょう。
ヒミコさんが、何か命令だそうと思っても、これ、どうやって伝え
ます?
九州の国々は、東シナ海を渡り、南シナ海を越え、ジャワ海にいたっ
て、やっと命令を聞けるんだもん。
で、これは、夢やロマンはあるけど、ちょっと・・・難しそうだ。
やはり、ヤマタイコクは日本列島のどこかにあったと考えるのが自
然だろう。

 

では、二つ目の可能性。
僕の中ではもうこれしかない。
ナシメさんが、ウソをついたってことだ。
「そんな・・・ウソなんてつくはずないよ。
だって、煮しめさんって正式な使者なんでしょ。
外務大臣が結婚サギみたいなことするかしら・・・。」と横から
口をはさんだのは、かみさんである。
結婚サギ・・・?
「あらっ、結婚サギって、そんなウソが得意なのよ。
『僕、ジャワ島に別荘持ってるんだよ。』とかさあ・・・。
(かみさん談)」
すみません。もう、ほっといて続けます。
考えてほしい。
現代でも、いわゆる北朝鮮は「拉致問題なんて存在しない」と言い続けてきていた。
アメリカだって「フセイン大量破壊兵器を持っている」って言ってた。
良い悪いは別にして、正式の使者が国のためにウソをつくことは、
情報網の発達した現代でさえ珍しいことじゃない。
では、ナシメさん、つまり、ヒミコさんを中心とするヤマタイコク
政権に、魏に対してウソをつかねばならない理由が存在しただろう
か・・・?


僕はあったと考える。


3世紀当時、超大国、中国は3つの国に別れていた。
横山光輝さん
(日本を代表する漫画家のひとり。昭和時代に書かれた他の代表作
に「鉄人28号」「伊賀の影丸」「仮面の忍者・赤影」などがある。
ちなみに子どもの頃の僕は赤影の真似をして、厚紙で赤いメガネ型
の仮面をつけて学校に通ったことがある。
すると、なんと同級生の真田くんも同じように仮面をつけて来てい
たのだ。その後、どちらが本物の赤影かということで、もめて、互
いにののしり合った。しかし、よく考えれば、僕も真田くんも偽物
だったんだ・・。まあ、それほど子ども達に影響力のあった漫画家
さんなのです。)
の漫画「三国志」ですっかりおなじみになっちゃったよね。
「魏(ぎ)」「呉(ご)」「蜀(しょく)」の3つの国で戦乱に明け
暮れていたのです。
当然、日本にも影響があっただろう。
いわば、ヤマタイコクはイソップ物語のコウモリみたいな立場にな
りかけていたはずだ。
動物軍団と鳥軍団のケンカに巻き込まれそうになり、おたおたする
コウモリ。
「僕は、動物の仲間ですよ。」「僕は鳥の仲間ですよ。」などと状
況に応じて2枚舌を使い続けたコウモリ・・・。
ヤマタイコクの場合、相手は3国で争ってたんだから、もっと状況
は複雑だったろうなあ・・・。
ま、とにかく・・・。
イソップのコウモリは上手に立ち回っているつもりが、ウソがばれて、
みじめな最後をむかえちゃった。

では、ナシメさんはどうだったのか・・。
僕はナシメさんはコウモリはコウモリでも、日本を救った黄金バッ
ト、知らない人のために言い換えると、バットマンだったと思う。
では「黄金バット」ナシメさんのウソを僕なりに分析してみます。
(次号に続きます。)

 


第4章 縄文・弥生の疑問編 (4)「邪馬台国はどこなの?」:「幻のヤマタイコク」 - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手