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将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

第4章 縄文・弥生の疑問編 (1)「邪馬台国はどこなの?」

歴史

第4章 縄文・弥生の疑問編 (1)「邪馬台国はどこなの?」


第3章「女王の国」 その(6)「クックさんと、『ヤマト』が『大和』と書くわけ」 - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手

 

 

まずは、頂いた質問を紹介します。

 

はじめまして。
いつも、とてもおもしろく読んでいます。
ところで、私の教科書には邪馬台国は九州にあったとする説と近畿
にあったとする説とが対立していると書いていましたが、どうお考
えですか?
ペンネーム:雅美さん(中2)
*同様のメールを3名の方
(mitsukoさん<37>、竹田さん<?>、平野さん<32>)に頂きました。
ありがとうございました。

 

 

 

まず、どうしてヤマタイコクが九州にあったという説と近畿にあっ
たとする説が出てきたかってことから説明しますね。
「第3章 女王の国」でも述べたように、ヤマタイコクのことは中
国の陳寿(ちんじゅ)さんが書いた「魏志倭人伝」に書かれている。
その位置の書き方が、現代の僕たちから見ると、実にあいまいに見
えちゃうんだ。
だって、こんな書き方がされてるんだから。
「・・・から南へ十日ほど船に乗り、一ヶ月ほど歩けば邪馬台国に着く。」・・。
ねっ。すごくあいまいな感じでしょ。
たとえば、僕が引っ越しをした友人の所へ電話をかけたとする。
「新居はどこなの?教えてよ。」
「えーとね。駅から南の方角よ。」
「ふーん、それで?」
「南にね、まず、自転車で20分、それから、歩いて40分の所よ。」
「・・・・・。」
このような会話で、僕は友人宅にたどり着けるだろうか・・・。
無理である。大無理である。スーパー無理である。
だから「ヤマタイコク」探しはこのスーパー無理を承知で行われて
いるものだと僕は思っている。
しかも・・・。しかもである。
陳寿さんの書いたとおりに進めば、ヤマタイコクの位置は、九州の
はるか南の海上、あるいは、ジャワあたりまで行っちゃうんじゃな
いかって説もあるくらいなんだ。
だから、「ヤマタイコクの位置」は九州説・近畿説だけじゃなく、
四国説、沖縄説、マライ諸島説まである。
そして、もっと重要なことがある。
そもそも・・・。
そもそも、倭人伝の作者、陳寿さんが日本の地理をどのくらい正確
に把握していただろうか・・ってことだ。
ちょっと話はとぶが、考えてもらいたい。
あの、コロンブスさんのことを・・。
アメリカ大陸にたどり着いたコロンブスさん、15世紀の人だ。
ヤマタイコクの頃の3世紀から1200年も後の人。
千二百年後と一言で言うが、あのおめでたいツルでさえ、千年なの
だ。
そのツルを200年も上回る後の世の人、コロンブスさんが使って
いた地図にはアメリカ大陸がのっていなかった。
アメリカですよ、アメリカ。
あの、どでかいアメリカが地図にのっていなかった!
でまあ、自分が到達したのはインドだと思いこんでいたんですもん
ねえ。
おかげで、アメリカ人なのにインディアンなんて変な命名までされ、
多大な迷惑をこうむった人々もいる。
さらに、その後の16世紀。
あの有名なオランダのメルカトルさんが地図を作った。
言うまでもなくメルカトル図法の地図である。
航海にも利用され、今日でも、おそらくどの地図帳にでものってい
るだろうあのメルカトルさんの地図。
これにさえ、日本はのっていない。
いや、まあ、日本らしきものはあると言えばあるのだが、ないと言
えばない。
当然、近畿と九州の区別なんかない。
では、本家本元ではどうか・・・。
さらにその後、17世紀ごろの、つまり江戸時代はじめのころの日
本人が作った日本地図にさえ、鹿児島県大隅半島薩摩半島はな
い。
かように地図というものは発達が遅かったのだ。
とてもじゃないが、3世紀の中国人、陳寿さんが日本列島の地理を
把握していたとは思えない。
結局、地理を把握していない人が書いたあいまいな表現の文章をも
とに、「ヤマタイコクの位置」は論議されていることになる。
だからこそ、九州説も近畿説も成り立つし、ジャワ島説だって成り
立つ。
ヤマタイコクはどこなの?」・・・。
僕らは、そう、倭人伝を書いた陳寿さんに問いかけているわけだ。
これは、これで歴史の楽しみ方の一つだろう。
けど、この問いは大きな間違いをおかしていると僕は思う。
実は、問いかけが逆だと言うことだ。
本当は僕らより陳寿さんの方が聞きたかったのだ。
ヤマタイコクはどこなの?」って・・・。
そして、それに答えた人がいる。
直接、陳寿さんに答えたわけではないだろうが、その人の答えが
21世紀まで続くヤマタイコク論争を産んだのだ。
いわば、「ヤマタイコク論争の母」いや「父」。
その人は名前まで、ちゃあんとわかっている。
「ナシメ」さんっていう、ヒミコさんのたぶん側近だ。
(次号に続きます。)

 


第4章 縄文・弥生の疑問編 (2)「邪馬台国はどこなの?」:「ウオ・ジャオ・チンジュ」 - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手