将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

『トンネルを知る』

『トンネルを知る』


将棋大会。
多くの子ども達は、初参加で全敗をします。
緊張感で頭の中が真っ白になっちゃうのですね。
だから、日頃の力なんて出せません。
ここは将棋大会での最初のハードルです。
でも、大丈夫。
ハードルは、必ず、越えられます。

そして、少しずつ慣れてきて、勝てるようになってきます。
でも少しすると、また勝てなくなるんです。
またもや全敗をすることだって珍しくなくなってきます。
これは大会レベルがあがって、相手が強くなったことも、もちろんあります。
でも、もうひとつ大きな理由があります。

 


それは、将棋がうまくなって相手の手を読めるようになったということです。
相手の手が、自分の手に比べてすごくよく見えてしまう。
それで縮こまってしまうことがよくあるんです。
それで、負けちゃう。
  
実は、これ、成長の証しなんですね。
でも、成長とは気付きにくいんです。
 
よく言われる「長いトンネル」です。
必ず越えるハードルと比べて、トンネルは抜けにくいんです。
ここで、くじけちゃう子もたくさんいます。

しぼんじゃう気持ちはよくわかります。
痛いほど、わかります。

でも。

でも、わかってほしいのはトンネルの中でもしっかり進んでいると言うことなんです。
景色が見えないけれど、きちんと進んでいる。
そして、トンネルは長いほど、抜けたときに遠くに行けているってことを覚えていてほしいんです

子ども達にとって将棋をするということは、トンネルについて知ると言うことでもあるんです。