将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

「始皇帝さんの悩み」    土器は語るよ(4)

始皇帝さんの悩み」    土器は語るよ(4)


カーニバルと茶の湯 土器は語るよ(3) - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手


少し詳しく言うとこうだ。
古代、日本には情熱あふれる文化を持つ先住民が住んでいた。
彼らは日常使う器にさえも、その情熱をもようとして刻み込んだ。
後の世の人々がそのもようから「縄文土器」とよぶ器である。

そこへ、まったく別の文化を持つ人々がやってきた。
それは「縄文の人々」にとっては衝撃的な登場だったに違いない。
両者は争った。そして最終的に新しくやってきた人々が勝利を収め
た。
ひょっとすると侵略かもしれないし、おだやかな吸収だったかもし
れない。
結果として、勝利者は支配者となり、その文化が広まる。
彼らは日常の道具には実用性のみを求めた。
器には器としての役割のみを求めた。
安定感のある、「静けさ」をも感じさせる素朴な土器・・・。
後の世の人々が外見からではなく、発見された土地の名で命名する
のがふさわしいと判断した土器、「弥生土器」だ。

では、新しくやってきた人々、つまり衝撃的に登場した「弥生文化」
の人々とは誰なのか・・。
僕は、前にも述べたように、あの有名な秦の始皇帝さんが関わって
いると考えている。

教科書の年表を見てください。
ちょうどこの頃(縄文時代のおわりごろ、紀元前3世紀)、中国は
「秦の始皇帝」の時代だった。
なにせ、この人、万里の長城言論弾圧(気に入らない書物や学者
をほうむり去っちゃった)をやっちゃったすごい権力者である。

その始皇帝さん、実は、老いることや死ぬことがとても怖かった。
権力者ってみな同じなのかなあ。
いや、僕もそうだな。権力者だけじゃないや。

始皇帝さん、ゴージャスな宮殿の中でどんなこと考えていたんだろ
うか。

「ああ、どうしょう。俺、年とるの怖いんだよね。なんか、この頃、
 体の調子も悪いしなあ。皇帝ってけっこう疲れるんだよね。第一、 
 世界で始めての皇帝だもんね。そこらにごろごろいる王じゃない
 よ、皇帝だよ、皇帝。先輩もいないし、なんでも、自分で考えな 
 くっちゃいけないんだもんな。ストレスたまるよ。でも、今はい
 いよ、今は。まだ、けっこう元気だし。けどさあ、俺が年とった
 ら、みんな俺のこと裏切りそうな気がするんだよね・・。誰も助
 けてくれないんじゃないかなあ。介護保険もユン○ル皇帝液もな
 いしなあ・・。あーあ、年はとりたくないなあ。」

 そこへ「不老不死の薬」のありかを知るという男が現れた。
 彼は徐福(じょふく)と名乗る。

「皇帝、皇帝。
 私、いいこと知ってますよ。海を渡った、はるか東の方に仙人が
 すんでるんですよね。でね、その仙人、『不老不死の薬』を持っ
 てるんですって。なんだったら、 私、行って、もらってきましょ
 うか?」
「ええっ、本当か?」
「へえ、本当です。ただ、遠いんですよね。この時代、通信販売やっ
 てないもんで。不便 なんですよね。でね、ちょいと先立つものが
 いるんですよ。」
「先立つもの?金か?」
「さすが、皇帝。話が早いや。お金もそうですがね。
 ちょいと人手も・・。」
「ヒトデ?食うのか?ナマコじゃだめか?」
「いやいや、そのヒトデじゃありやせん。手伝いがいるんです。な
 にせ、長旅でしょ。そうですねえ・・三千人ばかり・・。」
「さ・さ・三千人!!」
「ええ、不老不死ですよ、不老不死。不毛不作とはわけが違います。
 不平不満でもありません。不撓不屈(ふとうふくつ)って言った
 のは二代目タカノハナですがね。」
「なんか、徐福と話していると受験国語に強くなりそうだぞ。
 それにしてもタカノハナって誰だ?
 まあ、よい。気に入った!
 では、三千人、おぬしに与えよう。
 いくがよい!不老不死の薬を手に入れよ!」
「ははあっ。」
てなわけで、徐福さんは旅立ったのです。で、一度は旅の途中でク
ジラに邪魔されたとかで帰ってきたんだけど、もう一度旅立ち、そ
れっきり。帰って来ませんでした。

だましたんじゃないか、徐福さん、と言う気もしないではないけれ
ど・・。まあ、だまされる方もだまされるほうだし・・。これじゃ
あ、裸の王様そのままだよね。

この話、会話部分は僕が勝手に想像・脚色したものだ。(ごめんな
さい、始皇帝さん、徐福さん。)
けれど、大筋はホントのこと。中国の文献にちゃあんと残っている。

では、この徐福さんのむかったはるか東の海とは・・。
そこまではっきりとした記録は残っていないようだ。
けれど・・・。
そう、僕は日本列島だと思っている。
実際に、徐福さんがやってきたって伝承が残っている地域が日本各
地に存在しているんだ。

(次号に続きます。)


土器は語るよ(5) 「縄文のペリー、徐福さん」 - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手