将棋先生の「盤上・盤外」この一手

湯の町別府の将棋教室から考察した社会をつづります

土器は語るよ(2)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ちぐはぐな命名」   土器は語るよ(2)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その(1)は下記です。


「ガメラと縄文時代」 土器は語るよ(1) - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手

 

多くの教科書には、こう書いてあります。
-----------------------------------------------------------
「縄文土器」
  :縄(なわ)のもようが多く見られるためこの名が付いた。
    *編集者注*
   「もよう」と同じ意味の言葉で「文様(もんよう)」があります。
  それで、縄の文様、つまり「縄文(じょうもん)」ですね。
「弥生土器」
  :東京都文京区弥生町で発見されたためこの名が付いた。
-----------------------------------------------------------
ふんふん、なるほど・・。
「そうなのか、よし覚えよう」などと思ってしまえば、歴史はつま
 らない。

よく考えて欲しい。
いや、すなおに簡単に考えてみてください。
きっと、「この名前は変だ」と思う僕の気持ちも理解してもらえる
はずですよ。

「そうよねえ。これじゃあ、弥生町で見つかった縄文土器は肩身が
  せまいよねえ。」
これは僕のかみさんの感想だ。
うん、そう言われれば、それもそうだ。うまいこと言うなあ、かみ
さん。

でも、僕はちょいと違った疑問を持っている。

なぜ、一方を縄のもようという「見た目」で名前を付け、一方を弥
生町という「場所」で名を付けたのだろうかってことだ。

ふつう、同じ古代の土器なんだから名前の付け方をそろえるんじゃ
ないだろうか?

僕は、ためしに、土器のことなんて知りそうにもない、小学校中学
年くらいの子に両方の土器の写真を見せながら聞いてみた。

「ねえ、ねえ。この焼き物の名前知ってる?」
「知らない。」
しめしめ、実験開始。
「この焼き物はねえ、むかーしむかしの人が作った物でねえ。
  土器って言うんだ。土器ってのは土の器って書くんだけね。
  こっちのはね、弥生町ってとこで見つかったから弥生土器って言
  うんだよ。こっちのは縄文土器って言う名前なんだよ。さて、問
 題です。なぜ、縄文土器って名前をつけたと思う?」
「わかった!縄文町で見つかったから!」
やっぱりね・・・。
こんな、いたいけな子が素直に「縄文町」って答えるのに・・・。
これに「ブーーーーー!」って非情のブザーを押すのか歴史学会!!

念には念を。僕は七〇才をはるかに超えた僕の父にこうたずねた。
「縄文土器は、縄のもようがあるから、縄文って言うんだよね。
 知ってる?」
「ああ、知ってる、知ってる。よく覚えてる。」
「じゃあ、弥生土器って名前、どうしてつけたか覚えてる?」
「そりゃ、お前、『弥生もよう』がついてるからだろ。」
「ええっ!弥生もようって、どんなもよう?」
「そこまでは、覚えてないなあ・・。俺もぼけたなあ。」
・・・そう、これが普通の発想なのだ。
子どもをまどわし、老人を苦しめるのか、歴史学会!!
(ああ、よく考えると実験した僕が悪いのかも・・ごめんね歴史学会)。

まあ、とにかく、「見た目」と「場所」がごっちゃになってるじゃないか。
「よい子の交通教室」にやってきたおまわりさんが、歩行者専用信
号機を指さしながら
「よい子の皆さん、赤信号は止まれです。下の信号は進めです。」
なんて言うようなものじゃないか。

ねっ。変でしょ、ちぐはぐでしょ。
なぜ、こんなことになったのか・・?
一方を「見た目」で、一方を「場所」で命名した不思議さ。
それには、きっとわけがあるはずだ。
僕はこう推理した。

(次号に続きます。)


カーニバルと茶の湯 土器は語るよ(3) - 将棋先生の「盤上・盤外」この一手